皮膚科医エッセイ 爪・水虫 随想

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わたしの爪水虫奮戦記

川嶋 利瑞 先生

北海道網走市
網走皮膚科クリニック
川嶋 利瑞 先生

私のクリニックにも、毎年夏になると水虫の患者さんが大勢受診されます。日本人の成人の約20%が水虫であり、その半数が爪水虫も併発していると言われています。爪水虫は、少し前までは完治させることは難しい疾患でしたが、最近では良く効く飲み薬があり、完治させることは容易な疾患となっています。爪水虫の飲み薬については、聞いたことがあると思いますが、誤った考えをお持ちの患者さんも多くいらっしゃいます。

私が今でも時々思い出す爪水虫の患者さんがいます。水虫のため、爪が厚くなり、爪切りが大変なので、なんとかして欲しいと言って受診された80歳代の男性の患者さんです。その患者さんが言うには、「第二次世界大戦の時に、満州に戦争に行き、その時軍隊で水虫をうつされた」「長年のものなので完治させるのは無理だと思うが、何とか爪切りが簡単に出来るようにして欲しい」「飲み薬のことは聞いたことがあるが、肝臓に負担がかかると聞いているので、飲み薬は飲みたくない」というお話でした。検査をすると両足の爪全てが水虫でした。私は、何年前に水虫になったのかは関係なく、飲み薬で完治させることは可能だということをお話し、肝臓に関しては、飲み薬を飲んだ患者さん全てに肝臓の負担がかかる訳ではなく、たまたまお薬が合わない患者さんが、1%前後存在して、それ以外の患者さんでは、何の心配もいらないこと、ただし、念のため飲み薬で治療する患者さんには血液の検査をすること、万が一肝機能の数字が上がっても、薬を中止すれば肝機能の数字は元に戻るので心配ないことを説明しました。

その患者さんは、私の説明に納得してもらい、飲み薬の治療を開始したところ、約半年で完治し、すっかりきれいな爪になったのは60年ぶりだ、爪切りも大変楽になったと、大変喜んで頂きました。このように頑固な爪水虫も、きちんと治療を行えば、完治させることは可能です。また、飲み薬での治療に不安がある方は、お近くの皮膚科専門医に相談してみることをお勧め致します。

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