皮膚科医エッセイ 爪・水虫 随想

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患者さんさまざま

二宮 聖耳 先生

大阪府大阪市
住之江区
二宮医院 皮膚科
二宮 聖耳 先生

開業以来40年余、さまざまな患者さんがおられました。昭和38年頃でしたか、雑誌「文藝春秋」に掲載された“みずむしをなめるな”という私の投稿をみたという島根県在住の夫人がみえました。通院は無理でしょうという私の説明に、「いえいえご指示通りに通いますから」とグリセオフルビンの治療を懇願されました、それから2週間に1度来院され、半年以上もかかりましたが、まじめに通院なさり爪もきれいになり喜んでもらいました。以来年賀状も欠かさずいただいておりました。当時にしては高価な薬剤(1日3錠・4百円ほど)でしたから交通費を含めかなりの出費だったことでしょうに、記憶にのこる患者さんです。

「みずむしは治りますか?」という問いに私は「治そうと努力しない病気です」とこたえています。初診1日だけで二度と来院しない人が1/3という現状では、そういう結論になります。タッタ1回しかこられない、そういう人に限って次の夏来院されると「やっぱりみずむしはなおりませんなあ」とおっしゃいます。

考えてみますと大衆にたいしての情報があまりにも少な過ぎるのでありませんか。
TVのCMを見ていると「なんでもみずむしと断定」早々に治癒効果があらわれるような錯覚を宣伝しています。試験管のなかの菌要素に薬剤をくわえ、とたんに菌が死滅する画像を、あたかも皮膚内部におこる現象のようにみせています。誇大広告そのものではありませんか?
「足にも八百八病あるんだよ」「なんでもみずむしなんて」というのは私の嘆き節です。

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