皮膚科医エッセイ 爪・水虫 随想

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熱中期 から たかが期、そして されど期

中村 哲史 先生

北海道帯広市
医療法人社団
高木皮膚科診療所
副院長
中村 哲史 先生

私の皮膚科での最初の仕事は、問診と真菌検査でした。真菌検査に「熱中」し、顕微鏡をじっくり見て、時間はかかりましたが、真菌を見つけることがとても楽しかったのを思い出します。

臨床経験を重ねるに従い出張も増え、徐々に真菌検査と培養が面倒になってきました。 時間はかかるし、検査はしなくても診断できるのにと思いながら、先人の教えを守り、必ず真菌検査と培養を行いました。ほぼ予想通りで、「たかが」水虫、十年以上、足をみてきているのだという変な自信もありました。

年間のべ約10万人の患者さんが受診する現在の病院で働くようになり、より多くの足病変を見るうちに、趾間型の水虫、まちがいないと思ってもまったく菌糸が見つからず、ステロイド外用のみで良くなる症例、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)や異汗性湿疹(いかんせいしっしん)と心の中で診断した症例でも菌糸が陽性で抗真菌剤で改善する症例を経験することとなり、真菌検査や培養の重要性を卒後18年にして再認識しました。実は今までの経験は初診を10人/日見ても、せいぜい3〜5万人でしかなく、先人の教えは、私の浅い経験とは比較にならないことを思い知り、2006年8月の一ヶ月間、当院における初診相当患者さんの協力を得て足の健康調査、真菌検査を行いました。結果は初診の6割の患者さんが足になんらかの病変を持ち、そのうち4割が白癬であり、さらに、自分の足は水虫ではないと考えていた患者さん8割のうち2割5分、つまり人口の2割から白癬菌が見つかり、治療を受けていないことがわかりました1)

「されど」水虫、患者さんの足病変を早く治してあげたい、と、現在も臨床症状が少しでも怪しければしつこく真菌検査を行うよう心掛けています。

参考文献
1)中村 哲史、梶田 哲、高木 章好、飯塚 一

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